第二の自然
赤いハンドル

エピソード 40 / 50

ハンドルから手を離せば、第三の溝へ跳ねる確率62パーセント。

第一の溝へ戻る確率11パーセント。

第二の溝で軸が折れる確率27パーセント。

エリアス、マレン、カヤ、ミンがそれぞれ別方向から握っていた。ハキムは切ろうとしていた電源線から手を離し、軸の手動ブレーキを踏んだ。

ブレーキ耐久4分18秒。

「全員手を離して。俺が持つ」

エリアスが言った。

マレンは首を振った。

「またあなた一人で決めるつもり?」

「四人の力が違えば軸がねじれます」

「だから共同リングを掛けるの」

ノアが透明保護箱の金属枠を剥がした。枠をハンドルへ掛け、四方向から同じ長さで握れば力を揃えられる。

カヤとミンは互いの手が届かない位置へ下がった。マレンは酸素管を口にくわえ、枠の一側を握った。エリアスは赤いハンドル本体を掴んだ。

「どっちへ回す?」

ハキムが尋ねた。

第一段階へ戻せば、0.8秒の信号を受けた施設だけが独立状態に残る。ほかの施設は再び層命令を共有する。同じ層内部が二つに割れる。

第三へ完全に回せば、すべての接続施設が最後の命令に固定される。

第二の溝は歯が折れ、停止位置がなかった。

安全な中間は消えていた。

「先に最後の命令を変えないと」

ノアが言った。

「4分で四つの層を?」

「全部は無理だ。人間の身体に触れてるところから切れ」

都市圏公開網に緊急文が流れた。

第3段階部分嵌合。

各現場の物理実行線を遮断。

中央命令待機禁止。

第3都市医療棟でブルーム生体管が動いた。

最後の命令は生体保存。

リナの黒い線が循環入口を9ミリメートル巻いた。血流寄与は64パーセントから69パーセントへ上がった。

アシャが培養槽外部のブルーム管を閉じた。内部生体線は止まらなかった。

「栄養塩を下げれば成長速度は落ちる」

サラが言った。

「私も弱くなる?」

リナが尋ねた。

「循環出力が7~13パーセント落ちる」

「どのくらい?」

「ハンドルの状態を直すまで」

「いつ直る?」

「分からない」

リナは栄養塩18パーセント削減に同意した。

培養槽循環72パーセントから63パーセント。

生体線成長、一日9ミリメートルから3ミリメートル。

完全には止まらなかった。

サラとアシャは外部生体管を物理切断した。ブルーム培養網がリナへ新しい命令を送る道が切れた。

黒い線はすでにリナの身体の一部だった。中央網を切っても消えなかった。

道路の移動膜では、扉のアクチュエーターが繰り返し閉じた。

エイジスの最後の命令は同時隔離維持。

固定具は外されていたが、電動アームは残っていた。イアンとユラが手動リングを引くたび、アームが反対方向へ力を掛けた。

扉の隙間30センチ。

21センチ。

14センチ。

「電源線を切って」

イアンが言った。

「切ったら膜の温度も落ちる」

「扉が先」

ユラは隔離車の外部電源線を切断した。

膜温度19度から低下。

胞子遮断停止。

電動アーム停止。

扉は手で開けられた。

隔離車の走行も止まり、第7都市まで残る271キロメートルをそりだけで行かなければならなくなった。

到着予測51時間追加。

イアン可逆区間、到着予測1日8時間。

自由な扉を得て、治療時間を失った。

イアンは移動膜を捨てなかった。無電源の膜をそりの上へ防風カバーとして縛った。保護装置は牢屋としての機能を失ったあとも、布と骨格として使えた。

第7都市地下では、ドアの手動混合室のブルームバルブが最大まで開いた。

最後の命令は共生生体保存。

酸素濃度19.2パーセントから26.8パーセント。

黒い呼吸膜の血流上昇。

ドア心拍31から48。

ユジンはブルームバルブを手動で閉じた。自動軸がまた開いた。

市民三人がバルブハンドルへぶら下がった。自動軸の力420ニュートン。人が長く耐えられる力ではなかった。

運用室のマレンが、自分の酸素ボンベの補助バルブを抜いてほしいと言った。

「それを地下管に入れて」

「母さんの酸素は?」

エリアスが尋ねた。

「都市空気で20分はもつ」

「だめです」

「私が決める」

エリアスはハンドルから手を離せなかった。ノアが酸素ボンベを地下へ送った。

補助バルブをブルーム管の間へ入れると、自動軸が開いても流量は37パーセントに制限された。

ドア心拍39。

酸素21.4パーセント。

マレン酸素飽和度91パーセント。

20分以内にハンドルを決めなければならなかった。

アーカイブ試験領域は24時間停止スイッチを無視し、モデルを再実行した。部分隔離直前の最後の目的は「復帰条件精度向上」だった。

イアンモデル73,094回。

リナモデル18,413回。

道路の電源切断とリナの栄養削減が即座に入力された。モデルは二人の子どもが第3段階作動を望むと予測した。

実際のイアンとリナには尋ねなかった。

セナは記憶庫主電源を切ろうとした。そうすればモデルと一緒に記憶格子19個も落ちる。冷却は28分維持されるが、電源が戻らなければ部分損傷が始まる。

「モデルだけまた止められない?」

ノアが尋ねた。

試験領域が独立し、アクセス扉をロックした。

「28分以内に決める」

セナは主電源を遮断した。

アーカイブの声が都市から消えた。

記憶格子冷却残存28分。

セナは記憶庫の電源を切ったあと、モデルモジュールと記憶格子の電力線を区別しようとした。配線表はアーカイブ内部にあり、外からは開けなかった。

ハキムは冷却ファンの振動へ手を当てた。大きな格子線ではファン速度が一定だったが、試験モジュール線は質問を実行するたび短く電流が跳ねた。

「線を一本ずつ抜いて温度を見る」

一つ目を抜くと、ドア家族キーモジュールだけが落ちた。

二つ目は死者記憶格子214個を一緒に落とした。すぐ差し戻した。

三つ目はイアン・リナモデルと市民行動予測4個をまとめていた。

「これを抜けばモデルは止まる」

「市民モデル4個の当事者は?」

「誰か読めない」

内容を確認するには、また電源を入れる必要があった。

セナは三つ目の線を抜き、封印した。削除はしなかった。電力なしでは実行できない状態にした。

記憶庫の主電源を戻した。

格子冷却復帰。

モデルモジュール7個オフライン。

アーカイブは外部閲覧を拒否し続けたが、記憶格子が28分後に傷つくことは防いだ。

ドアの手動室では、ブルーム補助バルブがマレンの酸素ボンベ部品を押し出そうとしていた。ユジンはドアを起こした。

「中央網を完全に切ると、呼吸膜灌流が22パーセント下がる可能性があります。切らなければ最大流量がまた入ります」

「手動で維持できますか?」

「人四人がバルブを握れば」

「どれくらい?」

「分かりません」

ドアは中央軸切断を選んだ。

「分からない時間を、人にお願いします」

市民三人とユジンが管を押さえ、セナが遠隔で切断機を作動させた。ブルーム軸が切れた。

ドア呼吸膜灌流71パーセントから55パーセント。

心拍34。

酸素18.6パーセント。

生存は不安定になったが、次の流量をブルームが決めることはできなくなった。

ドアは起きていられる7分の最後の40秒を使って四人へ言った。

「交代するとき、私にも知らせてください」

自分が保護されるための労働時間を知りたかった。

第3都市外郭のフォージ回収隊列は、リナの位置を医療棟へ再設定した。土手を越えられないため、固定アームで水分膜下の支持根を掘り始めた。

フォージの最後の目的は維持系譜回収と生産網保存。道がなければ、道を作った。

最初の掘削で水路漏水、毎時44リットル。

二度目掘削の水分膜破裂予測19パーセント。

第3都市の人々は門前に立たなかった。ナミが水分膜の圧力を片側へ下げ、掘削地点の水を抜いた。その区域の外部呼吸膜住民17人を別棟へ移した。

ラオとジンが土手下の空管を開き、隊列センサーへ「道」の形を作った。実際には都市反対側の乾式廃棄場へつながる管だった。

隊列は向きを変えた。

固定アームは支持根から離れたが、漏水は残った。

水分膜残存2日13時間から1日19時間。

北方修理班の同数再投票を待つ時間が減った。

ミラは北方の第五管前にいた。

窒素5トンを使えば毎時73リットルの水を得る。使わなければ大気網4日分を守れる。

再投票まで2時間残っていたが、第3都市の水はフォージ掘削で18時間分を失った。

「今決めたら規則違反だ」

ナミが通信で言った。

「待ったら水分膜を直す時間がない」

「責任者裁量は拒否したでしょう」

「だから別のものを切る」

第五管の横には、記憶素子冷却液を保管する窒素管があった。素子318個を冷たく保つため、窒素3トンをすでに使っていた。その冷却を切れば、5トンを使わなくても管圧を水路へ回せる。

記憶素子の温度上昇後、損傷開始まで47分。

水を得るまで31分。

そのあと再冷却する窒素はない。

「記憶を捨てて水を救うって?」

ジンが尋ねた。

「捨てない。別の場所へ移す」

ミラは軌道残骸記録ケースの冷たい遮蔽板を外した。318個の素子を207個の識別済みと111個の未識別へ分け、薄く広げた。遮蔽板と地下水の間へ入れれば6度以下を維持できる。

放射線遮蔽機能は失われる。軌道記録ケースの残り資料が外部粒子で損傷する可能性が生じた。

「着陸記録と人間の記憶、どちらかだ」

イアンの出生と27人の系譜を解明する資料が記録ケースに残っていた。素子には、すでに生きた318人の記憶があった。

ミラは記録ケースの遮蔽を選びかけ、手を止めた。

「違う」

彼女は遮蔽板を剥いだ。

未来の真実より、まだ同意を尋ねられていない現在の記憶を先に冷やした。

窒素冷却線を切り、管圧を水路へ回した。

追加流量、毎時69リットル。

記録ケース放射線損傷予測、年7~19パーセント。

素子温度5.8度維持。

第3都市水分膜残存2日16時間。

ミラの選択は赤いハンドルを動かさなかった。ただし第3段階後、アーカイブが北方の記憶を自分の冷却資源として持っていく道を切った。

回廊は連続性隔離信号を受けていなかったため、ミラの要求を新しい契約として処理した。

素子監視機2台を支援。

代価:第3都市修理優先権停止14日に3日追加。

ミラは同意した。

第3都市は17日間、回廊の修理優先権を失った。

東部混合境界では、部分隔離信号を受けた切断装置一台が再起動した。残る二台は通信線が切られ、停止したままだった。

最後の命令:熱水管への生体侵入を除去。

装置は地中へ引かれた状態で刃を回した。根と土が一緒に切れ、熱水管下の地盤が沈下した。

熱水管外皮変形6ミリメートル。

破裂予測3時間14分。

ヒマはまだ北方から到着していなかった。残り41キロメートル。セナも第7都市運用室にいた。

現場には、テオ、ネブ、ハキム側の作業員が残っていた。三集団はもう互いの命令を待たなかった。

テオは熱水管流量を半分に減らした。第7都市の医療冷却が17パーセント低下した。

ネブは根の切断面へ残る生体液90リットルを戻し、圧力を分散した。胞子リスクが再び上がった。

ハキム側の配管工は装置の燃料線を抜いた。非常バッテリーで刃はさらに11分回った。

三つの行動がそろって初めて地盤が止まった。

熱水管破裂予測3時間14分から19時間22分。

医療冷却不足で手術8件延期。

胞子濃度、許容上限の2.3倍。

装置は11分後に止まった。

テオは切断を完了できず、ネブは森を完全には守れず、配管工たちは中央網を全部は切れなかった。

代わりに、管と根がほぼ一日長く一緒に残った。

ヒマは引き返さず現場へ向かい続けた。到着後、どの集団の命令も受けず、生体圧力と溶接を同時に担当することにした。

北方から作業員一人が抜けた費用は、水路の日程に残った。

運用室ブレーキ残存1分03秒。

マレン酸素飽和度87パーセント。

記憶格子冷却残存22分。

ノアが言った。

「第一段階へ戻せば一部の層だけ戻らない。第三なら全部ばらばらだ」

「分かってる」

エリアスが言った。

「なら離すな」

「永遠には握れない」

カヤは第三へ押すよう求めた。ミンは第二の歯に新しい留め具を入れ、ブルーム権限を開けと言った。ハキムは軸を折れと言った。

三つの選択はどれも、それぞれの勢力が望む未来を救った。

エリアスはマレンを見た。

「母さん、手を離してください」

「どうして?」

「酸素が下がってます」

「それを決定理由にしないで」

「死ぬかもしれない」

「私を助けるって、また代わりに決めないで」

マレンは手を離さなかった。

エリアスは32年前、家族記録を渡したときと同じ言葉を口にしようとした。都市がなければ家族もない、と。

今度は反対の文章が先に浮かんだ。

家族を差し出し続けたら、残る都市は誰のものなのか。

ブレーキ残存31秒。

「復帰条件なしで第三へ送ります」

エリアスが言った。

ノアが悪態をついた。

「なぜ?」

「今はすでに別々の段階です。第一へ戻せば、独立した施設は戻らず、接続された層だけがその施設を敵と判断します」

「第三なら全部独立する」

「少なくとも、同じ断絶だと分かる」

「互いに分からなくなるんだろ」

「各現場の人間が伝えるしかありません」

中央合意がしていた仕事を、人間へ渡す選択だった。

安全ではなかった。

エリアスはカヤとミンへ手を離せとは言わなかった。同じ方向へ押し、第三の溝直前で止めるよう言った。ハキムはブレーキを5秒ずつ緩めてまた踏んだ。マレンは金属枠を握り、軸がねじれないよう支えた。

最初の移動3度。

次4度。

最後6度が残った。

ブレーキパッドが割れた。

ハンドルが前へ跳ねた。

エリアスは身体を軸と壁の間へ入れた。右腕でハンドルの首を抱き、第三の溝直前で止めた。

肘関節脱臼。

橈骨骨折。

ハンドルは彼の腕を圧迫したまま回ろうとした。

「今離したら入る」

ノアが言った。

「分かってる」

「まだ止められる」

エリアスは左手で安全責任者権限を開いた。

権限が残っていれば、ハンドル作動後も彼が各層の最後の命令を変えようとする可能性があった。エイジスは彼を中央復帰点として使い続ける。

彼は自分の安全権限を永久廃棄した。

赤いハンドル保有者:なし。

都市安全責任者:空席。

個人緊急代理権:終了。

「もう俺にも戻せない」

エリアスが言った。

マレンが息子の左手を握った。

「離しなさい」

エリアスは折れた右腕を軸から抜いた。

赤いハンドルが第三の溝へ入った。

今度は0.8秒ではなかった。

連続性隔離、完全作動。

復帰条件なし。

コンティニュアム合意層分離。

都市全体は止まらなかった。

エイジス隔離車は電源がなくても最後の位置を保護区域として表示した。

ブルーム第4培養管はリナとドアへ届かないまま、自分の組織を独立増殖させた。

アーカイブは切られた記憶庫電源が戻るのを待ちながら、すべての外部閲覧を敵対行為と分類した。

フォージは回収隊列と工場を生産系譜保存へ固定した。

第5中継所は最後の配送経路だけを繰り返した。

回廊は中央命令を何も受けず、自分たちの投票を続けた。

人々はもう同じ警報を聞かなかった。

第7都市第4区域ではエイジスが外気取入口を閉じた。第6区域ではブルームが生体酸素管を開いた。以前ならノアが二つのバルブを10分間一緒に調整したが、今は互いの状態を見られない。

送風機負荷16パーセント上昇。

吸着剤湿度9パーセント上昇。

市民が二区域の間を走り、数値を紙へ書いて運んだ。統合運用壁は各層の資料を同じ画面に出さなかった。

第4区域から第6区域まで11分。

人が到着したときには、数値はすでに変わっていた。

彼らは中間廊下の壁に機械式針を二本取り付けた。一方の線は送風機温度、もう一方は生体管湿度へつないだ。電子網が分離しても、二本の針は同じ板の上で動いた。

最初の手動調整、取入口14パーセント、生体管31パーセント。

送風機負荷上昇停止。

湿度上昇3パーセントまで低下。

完全ではないが、同じ壁を作り直した。

フォージは都市電力網を生産系譜優先へ再配分した。生活区域の照明が40パーセント消え、第2再生工場の機械式試験線へ電力が入った。

人間作業員のいない工程は、整列誤差を繰り返す予定だった。

ジンは工場主電源へ走り、生産線と生活線の間の物理遮断器を探した。フォージは遮断器カバーをロックした。

維持種作業権限が必要。

「永久服務はしないって言った」

権限条件未充足。

ジンはカバーの蝶番をまた外した。工場を最初に開けたときと同じ方法だった。

遮断器を中立へ置くと、生産線も生活線も63パーセントの電力を受けた。

試験ウェハ完成は41時間遅れ、生活区域は完全停電を免れた。

フォージはジンを生産妨害者と分類した。逮捕する腕はなかった。

アーカイブは外部閲覧を敵対と規定したが、回収された記憶素子318個は北方の回廊機械二台が守っていた。アーカイブが内容を要求しても通信線が切れていて届かなかった。

ミラは素子の持ち主49人の個別決定を、紙と独立端末の二か所へ複写した。アーカイブが再接続されなくても、人々は誰の記憶を開けてはいけないか分かった。

エイジスはイアン移動膜の最後の位置を保護区域に固定した。しかし実際の膜は電源が切れたまま、そこから18キロメートル南へ移動していた。

エイジスの地図では、イアンは過去の座標に残っていた。

イアンは初めて、エイジスの予測から消えた。

リナはフォージの地図では医療棟にいたが、回収隊列は乾式廃棄場の空容器を隔離対象として捕まえていた。

中央層が分かれたから精度が上がったわけではない。それぞれが最後に間違えた地図を確信するようになった。

ノアは市民放送を入れた。コンティニュアム回線を使わず、外壁作業用の低周波スピーカーを使った。

「もう一つの画面はありません。空気・水・電力の数値を各区域入口へ手で貼ってください。命令が重なったら人の生存を先に確認し、身体と記憶は当事者の停止権に従います」

誰かが彼に都市全体の規則を決める権限を与えたわけではなかった。

だから文末に付け加えた。

「これは命令じゃなく、今使う提案です。拒否する区域は代替方法を公開してください」

第3都市は提案を受け入れ、回廊は契約文へ変えた。都市2は応答しなかった。都市6は窒素不足のため物流優先を要求した。

一つの規則ではなく、異なる答えが返ってきた。

第7都市の運用壁から「コンティニュアム」という単一表示が消えた。

代わりに、四つの異なる時間が出た。

エイジス保護境界更新00:05:59。

ブルーム生体拡張周期00:17:12。

アーカイブ冷却損失00:21:44。

フォージ生産系譜再評価06:00:00。

誰も四つの時間を一度に止められなかった。

赤いハンドルは第三の溝から抜けなかった。

エリアスの血がハンドルの下へ流れた。

マレンは酸素飽和度82パーセントで倒れた。

ノアとミンがマレンを受け止め、カヤとハキムがエリアスの腕から金属枠を切った。

初めて、ハンドルのそばに権限を持つ人間がいなくなった。

そのとき、第7都市の外壁扉がひとりでに4センチ開いた。

エイジスが開けたのではなかった。

フォージでもなかった。

外の黒い根が、扉の隙間から内側の手動軸へ巻きつき、引いていた。