壁を越える陽
同じ時刻の光

エピソード 3 / 3

午後二時十七分になると、光は床の二本目の目地に届いた。

最初から時間を測ろうと思ったわけではない。時計のない部屋で長く過ごしているうちに、光の位置が目に入るようになった。鉄格子の間から入る日差しは、床に縦長の四角形を作った。冬にはベッドの近くまで入り、夏には窓の下で短くとどまった。晴れた日は輪郭がくっきりし、曇った日は床に牛乳をこぼして拭ききれなかった跡のようにぼやけた。

私はベッド脇の机に、鉛筆で小さな印をつけていた。

光が二枚目のタイルのひびに届けば薬の配布が始まった。ベッドの脚に届けば、リハビリ室から戻る時刻だった。壁の下の配線モールまで上がれば、夕方の点呼が近かった。

ジョンホは、私が印をつけるのを見て最初は笑った。

「日時計でも作るのか?」

「時計がないからです」

「廊下にあるだろ」

「寝ていたら見えません」

「時間が分かって、何するんだ?」

私は答えなかった。

時間を知ったからといって、できることは多くなかった。食事は決まった時間に来た。薬も決まった時間に来た。扉は私が望むときに開かなかった。面会時間も、運動時間も、入浴時間も、別の人が決めた。

それでも、時間を知りたかった。

知らないあいだに一日が消えるのが嫌だった。

事故の前は、時間を知るために腕時計と携帯電話とノートパソコンの画面を交互に見た。事務所の壁にも時計があり、会議室のモニターの右下にも時刻が表示されていた。どの機器も同じ数字を示しているのに、私は何度も確認した。

あの頃、時間は足りなかった。

今は時間が余った。

足りなかった時間と余る時間が、同じものなのか分からなかった。

午後二時になる前、ユン・ソジンが薬のカートを押して入ってきた。車輪の一つが少し歪んでいて、廊下の床を通るたびに一定の間隔で音がした。

ガタン、ガタン、ガタン。

その音が近づくと、ジョンホは聖書にしおりを挟んだ。私は水の入ったコップを用意した。

「4271、ハン・ジェホ」

ソジンは収容番号と名前を一緒に呼んだ。

私は手を上げた。

彼女は薬袋に印刷された番号と、私の手首のバンドを照合した。小さな白い錠剤二つと黄色いカプセル一つを紙コップに入れた。

「痛みは?」

「昨日と同じです」

「痙攣は何回?」

「夜に二回」

「記録しましたか?」

「一回だけ」

「なぜ?」

「二回目は時間が見られませんでした」

ソジンは机の鉛筆の印を見た。

「光では測れなかったんですか?」

「夜には太陽がないでしょう」

口元がほんの少し動いた。笑ったようにも見えたが、すぐ記録用紙へ視線を落とした。

「正確な時刻が分からなくても、回数は書いてください」

「分かりました」

私は薬を飲んだ。ソジンは口の中を確認しなかった。ほかの収容者には舌の下に薬を隠していないか見ることもあったが、私はこれまで薬をためたり隠したりしたことがなかった。

信頼と呼べるほどのものではなかった。

まだ見つかったことがない、という記録に近かった。

ソジンがジョンホの薬を用意しているあいだ、ナ・ドユンが郵便物を持って入ってきた。

「ハン・ジェホさん、手紙が一通です」

封筒を見た瞬間、差出人が分かった。

ユリは自分の名前の「ユ」を書くとき、左の線を長く下へ伸ばした。小さい頃からそうだった。小学校の入学式の日の名札でも、「ユ」の最初の線が字の下まで伸びていた。スジンが消して書き直しなさいと言ったが、ユリは自分の名前がキリンみたいに見えるから好きだと言った。

封筒には「ハン・ユリ」と書いてあった。

住所はスジンとユリが住んでいるマンションだった。私が一度も行ったことのない家だった。

「検閲済みです」

ナ・ドユンが言った。

封筒の片側は刃物で開けられ、透明テープでまた閉じられていた。

私は手紙を膝の上に置いた。すぐには開けなかった。

ジョンホが薬を飲みながら尋ねた。

「娘さんか?」

「はい」

「読んでみろ」

「あとで」

「もったいぶるのか?」

「そういうわけではありません」

「じゃあ怖いのか?」

私は手紙を机の引き出しへ入れた。

「薬を飲んだなら休んでください」

ジョンホはそれ以上聞かなかった。

手紙はただの物なのに、部屋の形を変えた。引き出しを閉めても、その中に手紙があるという事実をずっと感じた。ユリが何を書いたのか知るまでは、いくつもの可能性が同時に存在した。

学校の話かもしれない。

面会に来られないという話かもしれない。

もう手紙を書きたくない、という言葉かもしれない。

その可能性は、封筒を開く前までしか存在しなかった。読めば一つだけが残る。

私は事故の前にも、決定を遅らせれば可能性は残ると思っていた。

作業を中止もしなければ、完全に強行もしないまま、点検チームが到着するまで一時間だけ進めると決めた。その一時間なら工程も守れ、安全も確認できるように思えた。

実際には、止めないと決めた瞬間に強行していた。

中間の選択だと思ったが、結果は片側にしか属さなかった。

光が二本目の目地へ届いた。

私は引き出しを開けた。

封筒を取り出し、透明テープの貼られたところから開いた。中には罫線のない便箋が二枚入っていた。一枚目の上には小さな雲の絵があった。ユリは絵が得意ではなかったので、たぶん便箋にもともと印刷されていたものだ。

お父さんへ。

最初の一行の下には一行分の空白があった。

元気? 私は元気。中間テスト終わったよ。数学は思ったよりできたけど、英語は終わった。お母さんは終わってないって言うけど、お母さんはまだ私の点数知らない。

私はその文章を二度読んだ。

英語は終わった。

返せる言葉はいくつもあった。何点だったのか聞ける。次の試験は大丈夫だと書ける。ユリが小さい頃、英単語を覚えさせるときに使った方法を教えることもできた。

しかし手紙は、もう次の文章へ進んでいた。

学校で、家族とか身近な人の人生を調べて発表する課題があるの。最初はお母さんにしようと思ったけど、お母さんが嫌だって。おばあちゃんにしようかなって思ってる。まだ決めてない。

私は少し長く息を吐いた。

ユリが私を調べようとしていないことにほっとした。ほっとしたあと、寂しくなった。二つの感情があまりに早く続いたので、どちらが先だったのか分からなかった。

手紙の後半には質問が三つあった。

お父さんが私くらいの歳だったとき、一番したかったことは何?

会社で働いていたとき、一番好きだった仕事は何?

事故がなかったら、今ごろ何をしていたと思う?

最後の質問の下に、もう一つ文章があった。

ただ気になっただけ。課題に使うつもりじゃないよ。

私は手紙を膝の上へ下ろした。

事故がなかったら、今ごろ何をしていただろう。

簡単な質問に見えた。

会社に勤め続けていただろう。昇進していたかもしれない。海外法人へ出ていたかもしれない。当時、チャン・ソクホ本部長は、事故さえなければ次の人事で役員候補に入れると言っていた。スジンとユリは一緒に海外へ出るか、韓国に残っただろう。

私は歩いていただろう。

一人でトイレへ行っていただろう。

ユリの学校行事に参加していたかもしれないし、参加していなかったかもしれない。

答えはいくらでも作れた。しかしどの答えにも、事故のあとも会社と家族と身体がそのまま続いたはずだ、という仮定が入っていた。

事故がなかったからといって、ほかの出来事までなかっただろうか。

会社が合併していたかもしれない。チャン・ソクホが約束を守らなかったかもしれない。私が別の現場で別の判断をしていたかもしれない。スジンが事故とは関係なく私から離れた可能性もあった。

人間は、起こらなかった人生を想像するとき、良い部分だけを連続させる。

私は事故の前日の自分を出発点にして、その日に持っていたものが今までそのまま続いていたと仮定した。仕事、家族、身体、娘の愛。そのどれにも続く保証はなかったのに、事故が全部を奪ったと思っていた。

「奪われた」という言葉は、もともと自分のものだったという意味だった。

私はユリの手紙をもう一度読んだ。

最初の質問から答えようとした。

十五歳の頃、一番したかったこと。

外国へ行きたかった。正確には、自分が暮らしている場所ではないどこかへ行きたかった。父と母が毎日同じ理由で喧嘩する家から遠く離れたかったし、学校で自分の名前より先に成績表が知られる生活から抜け出したかった。

しかしユリには、そう書きたくなかった。

世界のいろいろな国で働く人になりたかった、と書くことはできた。実際に海外運営の仕事をしたので、それらしく見えた。過去は現在に合わせて整理できた。

会社の面接でも、そう言った。

子どもの頃から国際的な環境で働きたいと思っていました。

実際には、家を出たかった。

二つは完全に違う言葉ではなかった。家を出たくて海外を夢見た。海外を夢見て外国語を勉強した。その結果、海外業務をするようになった。どの文章を原因として選ぶかによって、人生の形は変わった。

私は返事を書くために紙を取り出した。

お父さんが十五歳の頃は、外国へ行ってみたかった。

最初の文章を書いた。

なぜなら、

そこで止まった。

家を出たかったから、と書けば、ユリはなぜ家が嫌だったのか聞くだろう。世界を見たかったから、と書けば、嘘ではないが全部でもなかった。

私は「なぜなら」を消した。

ボールペンで二本線を引いた。紙が少し破れた。

ジョンホがベッドで身体を起こした。

「返事を書いてるのか?」

「はい」

「正直に書けよ」

「あなたは全部の手紙を正直に書くんですか?」

「少なくとも神様にはな」

「神様が検閲するんですか?」

「全部ご覧になる」

「なら手紙を書く必要もないですね」

ジョンホは少し考えて笑った。

「それもそうだな」

私は紙を見下ろした。

「正直って、何ですか?」

「嘘をつかないことだろ」

「言わないことは?」

「何を言わなかったかによるだろうな」

「必要な事実だけ選んで話すのは?」

「お前が会社でやっていたことか?」

私はボールペンを置いた。

「必ず私の話に戻さないといけないんですか?」

「お前が聞いたんだろ」

「一般論として聞いたんです」

「人が一般論で聞くときは、たいてい自分の話だ」

ジョンホは聖書を開き、会話を終わらせた。

私は返事を書き続けられなかった。

光はベッドの脚へ近づいていた。時間が動くのではなく、光が動き、そのあいだ私は同じ場所にいた。

事故の前は、予定表が時間を前へ引っぱっていくと思っていた。

月曜日、鉄骨設置。

火曜日、電気配線。

水曜日、荷重試験。

木曜日、顧客検査。

金曜日、仮承認。

一つの枠が終われば次の枠へ進んだ。完了率が上がり、遅延日数が減った。時間は空欄を埋める方向へ流れた。

プロジェクト管理ソフトには「基準日」というものがあった。基準日より前は実績、あとが計画だった。「今日」という縦線が画面の真ん中を通っていた。今日の線は毎日一つずつ右へ動いた。終わっていない仕事が線の左側に残ると、赤く表示された。

私は赤色が嫌いだった。

赤い仕事は遅延だった。責任者を決め、挽回計画を立てなければならなかった。赤色を消すために、終わっていない仕事を完了に変えたり、大きな仕事を小さな仕事に分けたり、基準日そのものを修正したりする人もいた。

「時間が遅れた」のではなく「計画が間違っていた」と言えば、赤を減らすことができた。

事故当日の朝も、画面には赤い仕事が十七件あった。

午後四時までに夜間荷重作業を始められなければ、竣工日は少なくとも二日遅れる予定だった。二日はカレンダーでは小さな数字だが、会社の報告書では損失額に変わった。遅延違約金、緊急輸送費、仮倉庫の賃料、顧客工場の生産支障予想費用。

私はその数字を見ていた。

パク・ジンスは柱を見ていた。

オ・グァンチョルは接合部の音を聞いていた。

同じ時刻に、人は違うものを見る。

あとになって、そのことを知った。

午後三時十分になると、光がベッドの脚に届いた。リハビリ室へ行っていた収容者たちが廊下へ戻ってくる音がした。車椅子の車輪と歩行補助具が床をこすった。

毎日ほとんど同じ時刻だった。

しかし今日の光は、昨日の光ではなかった。

昨日床に届いた光は、どこにも保存されていなかった。私は時間を積み上げていると思っていたが、実際には過ぎた痕跡を覚えているだけだった。

ユリと食べられなかった夕食も、どこかに貯めておいてあとで使えるものではなかった。出張のあとに埋め合わせると言っていた週末も保存されてはいなかった。

そう考えると、返事に何を書くべきか、さらに難しくなった。

事故がなかったら、今ごろ何をしていただろう。

私は「今」という言葉を丸で囲んだ。

刑務所の医療棟のベッドに座り、娘の手紙に返事を書いている。

それが現在の事実だった。

起こらなかった現在を作って答える代わりに、自分が確実に知っていることを書くことにした。

お父さんが十五歳の頃は、外国へ行ってみたかった。今考えると、世界を見たかったのも本当だし、自分がいた場所を離れたかったのも本当だ。

私はその文章を読んだ。

二つ目の質問には、こう書いた。

会社で一番好きだったのは、いろいろな国の人たちと一緒に問題を解決するときだった。問題が解決すると、自分が必要な人間のように感じた。

「人の役に立てるのがうれしかった」と書きかけて変えた。私が好きだったのは、助けることそのものより、必要とされる人間だという感覚だった可能性が高かった。

三つ目の質問の前で長く止まった。

事故がなかったら、今ごろ何をしていたと思う?

最初は「会社に勤めていただろう」と書いた。そのあと線を引いた。

たぶん会社に勤めていたと思う。でも確かなことは分からない。事故がなくても、別のことが起きたかもしれないから。ただ、歩いてはいたと思う。それも絶対だとは言えないけれど。

複雑すぎる答えに見えた。

ユリは単純に聞いただけだろう。私はどんな質問も法廷での供述のように考えていた。

返事の最後に書いた。

おばあちゃんについて発表してもいいし、お母さんを説得してもいい。お父さんを選ばなくても大丈夫。自分がやりたい人を選びなさい。

書いたあと、「お父さんを選ばなくても大丈夫」という文章が気になった。大丈夫だと言うことで、実は私のことも考えてほしいと要求しているように見えた。

その文章も消した。

自分がやりたい人を選びなさい。

それだけ残した。

手紙を折っているあいだに、雲が太陽を隠した。

床の四角形が消えた。

部屋は急に暗くなったのではなく、少し前より明るさが減った。私は光がなくなった場所を見た。印をつけたタイルの目地はそのままあったが、時刻を推測できなくなった。

ジョンホが窓の外を見ながら言った。

「雨でも降るかな」

「天気予報を見たんですか?」

「膝が痛い」

「あなたの膝はいつも痛いでしょう」

「今日は違う痛み方だ」

しばらくすると、本当に雨が降り始めた。

窓に小さな水滴がついた。鉄の窓枠を叩く音がした。光で作った時計は、その日はもう動かなかった。

私は廊下の端の時計を見るために車椅子へ移った。四時二十二分だった。

部屋へ戻り、机の印の横に日付を書いた。

6月17日、曇り。午後3時40分以降、光なし。

ジョンホが尋ねた。

「それも記録するのか?」

「はい」

「なぜ?」

「あとで比べるためです」

「何と?」

私は答えようとして止まった。

何と比べようとしているのか、自分でも分からなかった。明日の光かもしれない。来月の光かもしれない。私がこの部屋を出たあと、その印を誰も見ないかもしれない。

「ただ、今日はこうだったって書くんです」

私が言った。

ジョンホはうなずいた。

「それも書く価値はあるな」

雨が始まったあと、午後のおやつの配膳がいつもより遅れた。

三時五十分なら廊下の端からカートの音が聞こえるはずだったが、四時を過ぎても何も聞こえなかった。ジョンホは腹は減っていないと言いながら、三回も扉のほうを見た。向かいの部屋では誰かが扉を叩いた。

「配膳、まだですか?」

刑務官が巡回するたびに同じ質問が出た。

「調理棟からの移動が遅れています」

「何時に来ますか?」

「確認中です」

「確認中」という言葉が、廊下をもっと不安にした。おやつは小さなパンと牛乳だけだった。一食抜くわけでもない。それなのに、決まっていたことが決まった時刻に起きないと、人々は時間そのものを失ったように振る舞った。

ジョンホが言った。

「お前の光時計も今日は役に立たないな」

「廊下の時計はあります」

「時間が分かっても、パンは来ないだろ」

私は廊下の時計を確認した。四時十三分だった。数字を知ると、かえって遅れがはっきりした。いつもより二十三分遅い。

会社では、遅延時間が数字になった瞬間に責任者が生まれた。十分までは状況、一時間を超えると問題、一日を越えると経営陣への報告事項になった。人は基準を越えるまでは、問題を問題と呼ばないようにした。

私はナ・ドユンに尋ねた。

「調理棟では何分遅れると言っていますか?」

「分かりません」

「確認中だと言っていたでしょう」

「私が確認しているわけではありません」

「では誰が確認しているんです?」

「担当者でしょう」

「担当者が誰か分からないんですか?」

ナ・ドユンが私を見た。

「パンが遅れて不便なんですか、それとも手順を知りたいんですか?」

私はすぐには答えられなかった。

「いつ来るか分かれば、待ちやすいので」

「届いたら配ります」

彼は次の部屋へ行った。

四時二十七分にカートが来た。遅れた理由は、雨で調理棟と医療棟の間の通路の一部が濡れ、迂回したからだった。パンは湿っていなかった。牛乳も冷たかった。何も損なわれていなかった。

人々はパンを受け取ると、遅れについてもう話さなかった。

私は包装を開けず時計を見た。三十七分の遅れは、パンが届いた瞬間に過去になった。その時間がどこかに保存され、あとで返ってくるわけではなかった。

「食べないのか?」

ジョンホが尋ねた。

「食べます」

「待ってるときはあんなに聞いていたのに」

「いつ来るか知りたかっただけです」

「来ただろ」

彼はパンを半分に割って食べた。

私は牛乳パックに印刷された賞味期限を見た。十日後の日付だった。牛乳には、これから先の時間が残っているように数字が印刷されていた。しかしパックを開ければ、今日中に飲まなければならなかった。

賞味期限の下に印刷された製造時刻を読んだ。事故の前日の夜、私が眠っていた時刻にも、どこかでは牛乳が作られ、包装されていたのだろう。私の人生で重要な日と、世界のほかの時間は、同じ重さでは流れなかった。

パンを食べ終え、包装を捨てたあと、私は返事の封筒に日付を書いた。ユリがいつ受け取るかは分からなくても、私がいつ書いたかは残せた。

夕方の点呼のあと、ナ・ドユンが手紙を回収しに来た。私は折った返事を封筒に入れ、渡した。

「内容確認後に発送されます」

「分かっています」

彼は封筒を書類板にはさんだ。出ていこうとして、扉の前で振り返った。

「金曜日、家族面会が入りました」

「誰が来ます?」

「申請者キム・スジン、同伴者ハン・ユリです」

スジンとユリ。

二人が一緒に来る面会は三か月ぶりだった。

「時間は?」

「午後二時です」

ナ・ドユンが出たあと、私は床を見た。

金曜日の午後二時。

晴れていれば、その時刻には光が二本目のタイルの目地へ届く直前だろう。

私は机の日付の下に「金曜日」と書いた。

その横に、何の意味もない小さな線を一本引いた。

その線は今日と金曜日をつないではいなかった。

ただ、私が金曜日は来ると思っているという事実を残した。