壁を越える陽
私の身体の他人

エピソード 2 / 3

朝の点呼が終わったあと、ユン・ソジンが入ってきた。

彼女は扉を閉めなかった。医療収容棟の扉は内側から施錠できず、治療のときも完全には閉まらない。ナ・ドユン刑務官が廊下から中を見られる程度の隙間が残った。ソジンは折りたたみ式のついたてを広げ、ベッドと扉の間に置いた。白い布には、洗っても落ちない茶色い染みがあった。

「横向きになってください」

彼女が言った。

私は天井を見たまま横になっていた。ジョンホは朝の運動に出ていて、部屋にはいなかった。私の運動はリハビリ室で別に組まれていた。ジョンホがいないことが幸いなのか、そうでないのか判断できなかった。誰かに見られるのは嫌だったが、誰もいないところで他人の手に身体を預けるのも嫌だった。

「どちら側に?」

「左です。前回は右を見ましたから」

私はベッドの柵をつかんだ。右腕で身体を引き、左腕でマットレスを押した。上半身が先に回った。骨盤から下はしばらくそのまま残り、シーツに引きずられるようについてきた。ソジンが私の右膝をつかんで前へ移した。

「自分でやります」

「膝がベッドの隙間に引っかかっています」

「言ってくれれば自分でやります」

「言っていたら、今より時間がかかったでしょうね」

彼女は私の脚を離し、手袋をはめた。ビニールが手首に張りつく音がした。

「ズボンを下ろします」

「自分でできます」

「今の姿勢ではできません」

彼女の言葉は質問には聞こえなかった。私は手を柵の上に置いたまま動かなかった。腰から下で服が引かれる感覚はかすかだった。感覚がまったくないわけではない。どこを正確に触られているかは分からないが、布が動き、皮膚が押されていることは、遠くから伝わる振動のように感じられた。

事故の前は、服を脱ぐのに考える必要などなかった。

シャワーを浴び、シャツを着て、ボタンを留め、ネクタイを締め、靴下を履き、靴を履いた。手が勝手にやった。海外出張では、ホテルの部屋で目を閉じたままでも鞄を整理できた。ノートパソコンは右の区画、充電器は外ポケット、領収書の封筒は内側のファスナー。身体も鞄の中の物のように、決まった位置にあった。

私は身体には命令すればいいと思っていた。

徹夜しろと言えば徹夜した。酒を飲んだ翌日でも六時に起きろと言えば起きた。熱があっても現場へ行けと言えば行った。脚が痛ければ鎮痛剤を飲み、胃が痛めば牛乳を飲んだ。身体は後回しに整備してもいい設備だった。

設備には所有者がいる。

私は、自分の身体の所有者は自分だと信じていた。

ソジンが腰の下に手を入れ、シーツをぴんと張った。冷たい空気が触れた。

「昨夜、体位変換しましたか?」

「しました」

「何時に?」

「正確には覚えていません」

「点検表には九時と零時になっていますが、零時にはしていませんよね?」

「寝てしまいました」

「それなら、したと記録してはいけません」

「ジョンホさんがやったと思います」

「イ・ジョンホさんは昨日の十一時半に睡眠薬を飲んでいます」

私は柵を握る手に力を入れた。

「収容者が毎晩、別の収容者の身体を確認するほうが変じゃないですか?」

「だからご本人が呼んでください」

「二時間ごとに刑務官を呼べと?」

「必要なら」

「ここにいるのは私一人じゃないのに」

「だから点検表があるんです」

ソジンの指が仙骨の周辺を押した。私は圧迫感を感じなかった。彼女がどこを見ているのか、ついたての向こうの金属製収納棚に映るぼんやりした姿でしか分からなかった。

「赤い範囲が広がっています」

「前回もそうだったでしょう」

「前回は押すと色が戻りました。今日は戻るのが遅いです」

「痛くはありません」

彼女の手が止まった。

「痛くないことが問題なんです」

その言葉は何度も聞いた。

病院でも同じことを言われた。痛みがないからこそ、もっと頻繁に確認しなければならない。熱い湯で火傷しても気づかないかもしれない。爪が皮膚に食い込んでも分からないかもしれない。傷が骨まで深くなっても気づかないかもしれない。

知らないことが問題だという言葉。

その文章は、事故のあとずっと私の周りを離れなかった。

私は、亀裂が危険だとは知らなかったと言った。

検査数値が操作されていたとは知らなかったと言った。

上の人間が責任を私へ押しつけていたことを、そのときは知らなかったと言った。

作業員たちが現場で何を話していたかも知らなかったと言った。

知らなかった事実が増えるほど、私の責任は小さくなるように見えた。同時に、自分が責任者だったという言葉は、ますます奇妙になった。

「写真を撮ります」

ソジンが言った。

「なぜです?」

「変化を記録します」

「前回の写真と比較すればいいでしょう」

「今日の状態は今日撮らないと」

「顔は写りませんよね?」

「患者番号と患部だけです」

患者番号。

ここでは私は収容番号であると同時に患者番号でもあった。一人の人間に二つの番号が必要だという事実が妙に感じられた。罪を管理する番号と、身体を管理する番号。

カメラのシャッター音が一度鳴った。

私はついたての上の天井を見た。蛍光灯が一本、ちらついていた。完全に消えるわけではなく、明るさがわずかに揺れていた。事故現場の仮設照明もそうだった。発電機の電圧が安定せず、白い光が震えていた。

崩壊の直前、私が最後に見たのは柱ではなかった。

天井近くに吊られた作業灯だった。

灯りが大きく揺れた。誰かが「出ろ!」と叫んだ。私は顔を上げた。光が左へ動き、右へ戻った。埃が落ちた。その次に音がした。

人は崩壊を「轟音」と表現する。

実際には、いくつもの音が重なっていた。

鉄骨が曲がる音。ボルトが弾ける音。コンクリートが砕ける音。人が走る足音。無線機から誰かが何度も私の名前を呼ぶ音。あまりにも多くの音が一度に鳴り、むしろしばらく何も聞こえないように感じた。

私が目を開けたときにも光があった。

病院の集中治療室の照明だった。

私は身体を動かそうとした。まず指が動いた。腕も動いた。首も回せた。脚を動かそうとしたときだけ、何も起こらなかった。

もう一度命令した。

右脚を上げろ。

何も起こらなかった。

つま先を動かせ。

何も起こらなかった。

口に管が入っていて、話すことができなかった。私は手でベッドの柵を叩いた。看護師が来て、私の手を握った。落ち着いてください、手術は終わりました、医師がすぐ来ます、と言った。

私は指で空中に文字を書いた。

脚。

看護師には伝わらなかった。

もう一度書いた。

人。

その言葉も伝わらなかった。

あのとき、私が最初に知りたかったのが自分の脚のことだったのか、現場にいた人たちの生死だったのか、今でも確信できない。記憶は順番を変えることがある。あとから生まれた恥が、先にあった場面へ入り込むこともある。

私は、人のことを先に尋ねたのだと信じたい。

だが最初の意識は、脚を動かそうとした感覚だった。

その事実は誰にも話していない。

「ハン・ジェホさん」

ソジンの声がした。

私は蛍光灯から視線を下ろした。

「はい」

「傷の周りに保護剤を塗ります。冷たいですよ」

冷たいかどうか分からなかった。

「分かりました」

彼女は薬を塗り、薄いフォームドレッシングを貼った。ビニール包装を破る音がした。

「今後三日間、リハビリ室での運動を減らします」

「必要ありません」

「圧迫を減らさないと」

「運動しないと肩がもっと固まります」

「上半身の運動はベッドでしてください」

「リハビリ日程は理学療法士が決めるものでは?」

「傷の状態は私から伝えます」

「傷一つで全部止めたら――」

「一つじゃありません」

ソジンが言った。

「今は赤い斑点です。でも管理しなければ皮膚が開いて、感染したらリハビリも仮釈放の準備も全部止まります」

彼女が仮釈放という言葉を出すと、私は顔をそらした。

「それはこの治療とは関係ありません」

「身体は関係あります」

「私の仮釈放の話はしないでください」

「私から先に出したのは確かです。すみません」

彼女はすぐに謝った。

あまりに早く謝られると、こちらの怒りを続ける場所がなくなった。

「ズボンを上げます」

彼女が言った。

私はまた柵をつかんだ。彼女が服を引き上げるあいだ、身体が少し揺れた。治療が終わっても、私は横向きの姿勢を保った。

「仰向けに戻っても大丈夫です」

「少しこのままでいます」

ソジンは手袋を外し、医療廃棄物の袋へ捨てた。ついたてを畳む前に、ベッド脇の尿バッグを確認した。

「色が濃いですね。水分、少なかったでしょう?」

「汁物も飲みました」

「汁物は水に数えないでください」

「なぜです?」

「塩分が多いからです」

彼女は尿バッグにつながるチューブを指でたどり、折れ曲がっているところがないか確認した。透明な管は私のズボンの中へ続いていた。自分の身体の中から出たものが、ベッド脇のビニール袋にたまっていた。

最初の頃は、それを見るたびに顔をそらした。

病院では看護師が尿量を声に出して読んだ。千二百、八百五十、六百。身体から出た液体が数値になった。排便の時刻も記録され、飲んだ水の量も記録された。私は三十六歳になって初めて、自分がいつ小便をし、いつ便をしたのかを誰かに報告する人間になった。

スジンが初めて病室で尿バッグを空にした日のことを覚えている。

看護師から方法を教わっていた。下に容器を置き、ロックを開ける。スジンの手は震えていた。私は天井を見ながら言った。

「君がやらなくていい」

スジンは答えなかった。

「看護師を呼べばいいだろ」

「看護師も忙しいの」

「それでも君の仕事じゃない」

そのときスジンが私を見た。

「じゃあ、誰の仕事なの?」

私は答えられなかった。

その後、スジンは何度も私の尿バッグを空にした。身体を拭き、皮膚を確認し、リハビリの時間に合わせて車椅子を押した。私は彼女がしてくれたことを覚えていながら、ある日は、彼女が表情を隠せなかったことを恨んだ。

疲れた表情。

怖がる表情。

一瞬顔をしかめる表情。

私はそれを裏切りのように受け取った。愛しているなら何とも思わないはずだと考えた。自分の身体の変化が、彼女にとっても見慣れず恐ろしいものかもしれないという事実を認めなかった。

ソジンは尿バッグをベッド下のフックへ戻した。

「昼食までに水を二杯飲んでください」

「一気に飲むと膀胱管理の時間がずれます」

「分けて飲めばいいです」

「分かりました」

彼女はついたてを畳んだ。廊下の光がまた入ってきた。

ナ・ドユンが扉口で尋ねた。

「終わりましたか?」

「はい。体位変換の記録についてもう一度説明しました」

ソジンは診療記録に何かを書いた。字は小さく整っていた。何を書いているのか見たかったが、私は顔を向けなかった。

患者、非協力的。

治療の必要性に対する理解不足。

自己管理不良。

そんな文章が書かれているような気がした。

記録は事実を残すと言うが、残るのは記録する人が選んだ事実だけだ。

「看護師さん」

私は呼んだ。

ソジンがペンを止めた。

「さっき、零時に体位変換をしなかったのは本当です」

「はい」

「点検表には私が印をつけました」

「分かっています」

「ジョンホさんがやったわけではありません」

「それも分かっています」

彼女がすでに知っていたと言うことに、私は腹が立った。

「では、なぜ聞いたんです?」

「ご本人が言えるか確認するためです」

「試したんですか?」

「治療するために確認したんです」

「同じことでは?」

「違います」

彼女は記録用紙へまたペンを置いた。

「点検表に嘘を書くと、次の勤務者は実際に体位変換をしたと思います。皮膚の状態が悪くなったとき、原因を判断することも難しくなります」

「一回しなかっただけで、こうなったというんですか?」

「一回なのか十回なのか分からないから記録するんです」

その言葉は、安全点検担当者の言葉に似ていた。

断言はできません。

ただ、止めたほうがいいと思います。

私はあのとき、確信できない警告を、行動しない理由に使った。ソジンは、確信できないからこそ記録し、行動しなければならないと言った。

二つの文章の間には、小さな違いがあった。

二人が死ぬほど大きな違いだったのかどうかは、まだ考えたくなかった。

「記録を修正します」

ソジンが言った。

彼女は点検表を持ってきて、零時の欄の丸に一本線を引き、「未実施、本人確認」と書いた。私のついた嘘は消えず、取り消し線の下に残った。

「終わりました」

彼女は部屋を出ようとした。

「ユン看護師さん」

私はまた呼んだ。

彼女が振り返った。

言うべきことは二つあった。

私の身体に勝手に触らないでほしいと言うことができた。治療のたびに、まず説明してほしいと求めることもできた。どちらも必要な言葉だった。

もう一つ、ありがとうという言葉もあった。

その言葉は口から簡単には出なかった。ありがとうと言えば、自分が助けられたという事実が確定してしまうように感じた。すでに助けられているのに、言葉にしなければ確定しないかのように考えていた。

「次から膝を動かす前に言ってください」

私は言った。

「分かりました」

彼女はうなずいた。

「それと」

私は指先でシーツをこすった。

「治療してくれて、ありがとうございます」

ソジンは笑わなかった。

「仕事ですから」

そう言って出ていった。

私はその答えが気に入った。

感謝されるためにやった仕事ではない、という意味に聞こえた。同時に、私が感謝しなくても続けなければならない仕事だという意味でもあった。

彼女が出ていったあとも、ついたてのあった場所には消毒薬の匂いが残った。

私は車椅子へ移り、廊下の端の洗面所へ行った。水を汲もうとしたとき、右脚が突然伸びた。フットレストに載っていた足が横へ滑り、靴の先が床を引きずった。身体を止めようと車輪をつかんだが、痙攣は私がつかむこととは関係なく続いた。

後ろから来た収容者が私の肩をつかんだ。

「じっとして。脚、上げてやるよ」

返事を待たず、彼は私の膝の下へ手を入れた。

「離してください」

声が大きく出た。

男は手を離した。

「助けようとしただけなのに、なんで怒鳴るんだ」

「先に聞いてください」

「転びそうだったからつかんだんだろ」

「転んでいません」

「はいはい、一人で全部やればいい」

彼は私の横を通り過ぎた。廊下にいた何人かがこちらを見た。私は左手で右膝を持ち上げ、足をフットレストへ戻した。痙攣はすでに止まっていた。

男がつかまなくても転ばなかったかもしれない。彼がつかんだから転ばなかったのかもしれない。どちらなのか確かめる方法はなかった。

洗面台の前でコップに水を汲んだ。蛇口から落ちる水がコップの内側を叩いた。手が少し震えていた。

私は助けが嫌いなのではない。助けられる場面で、自分が消えるのが嫌いだった。他人は私の身体を見て、まず判断した。つかまなければ。動かさなければ。押さなければ。その判断のあとで、私は「ありがとう」と言うか、怒るかする人間になった。

事故の前、私も他人の身体をそうやって判断していた。

現場作業員が重い資材を運んでいるのを見ると、人員を増やすべきか、作業速度を上げられるかを計算した。疲れて見えれば交代時間を調整し、手が遅ければ熟練度が低いと評価した。その人に今触れてもいいかと尋ねたことは、ほとんどなかった。作業指示には同意も含まれていると思っていた。

水を飲んだあと、私はさっきの男を探した。彼は休憩スペースでテレビを見ていた。

「さっきはすみませんでした」

私が言った。

彼は画面から目を離さず答えた。

「もういいよ」

「つかむ前に一言言ってほしい、という意味でした」

「転びそうなのに、許可を取れって?」

「時間があるなら」

彼が私を見た。

「時間がなかったら?」

私は少し考えた。

「そのときは、つかんでもいいです」

「そんなの、どうやって分かるんだよ」

「分からなければ、聞いてください」

男は苦笑した。

「分かった。次から『転びますか?』って聞くよ」

彼はまたテレビを見た。会話がうまく終わったのかは分からなかった。私は謝り、彼は受け入れた。しかし二人とも、相手を面倒な人間だと思っているようだった。

部屋へ戻る途中、ナ・ドユンが尋ねた。

「何かありましたか?」

「ありません」

答えてから、私は言い直した。

「脚の痙攣があって、別の収容者がつかんでくれました。私が声を荒らげました」

ナ・ドユンは記録しなかった。

「怪我は?」

「ありません」

「なら、それで大丈夫です」

そう言われても、何が大丈夫なのか分からなかった。怪我がなければ事件はなかったことになるのか。謝ったから関係は終わったのか。記録する必要がないということなのか。

部屋に戻り、私は点検表の空欄へ書いた。

10時40分、右脚痙攣1回。

その下に小さく付け足した。

他者が車椅子を保持。負傷なし。

その記録は私の感情も、男の意図も説明しなかった。それでも「何もなかった」と言うよりは正確だった。

ジョンホが運動から戻ってきたのは、そのあとだった。汗で濡れたタオルを首にかけていた。

「今日、治療あったか?」

「はい」

「傷は?」

「少し悪くなったそうです」

ジョンホは私のベッド脇の点検表を見た。

「零時に体位変換しなかったんだな」

「見ないでください」

「壁に貼ってあるのに、どうやって見ないんだ」

「あなたは睡眠薬を飲んでいたでしょう」

「だから手伝えなかった」

「頼んだことはありません」

ジョンホは答えず、自分のベッドへ行った。枕の横には、昨日落ちたボタンがそのまま置かれていた。白い糸が長くほどけていた。

「まだ縫ってないんですか?」

「看護師が忙しかった」

「頼みました?」

「いや」

「じゃあ、忙しいかどうか分からないでしょう」

「いつも忙しいさ」

私は机の上に置いた反省文を見た。

今日、私はボタンを一つ拾った。

昨日書いた文章はまだそこにあった。紙が一晩たっても変わっていないことが妙だった。その下に何かを書こうとした。

今日、私は他人に自分の身体を預けた。

頭の中で文章を作り、書かなかった。「預けた」という言葉には、自分が自発的に選んだような響きがあった。実際には、選べる範囲は狭かった。

今日、他人が私の身体を治療した。

この文章のほうが事実に近かった。しかし「他人」と書けば、ソジンの顔が消えた。

今日、ユン・ソジン看護師が私の傷を治療した。

私はボールペンを持った。

紙に最初の一文字を書いた。

き。

そのとき脚が痙攣した。

右膝が突然持ち上がり、ベッドへ落ちた。私は何もしていないのに身体が動いた。ベッドフレームが軽く鳴った。

ジョンホが振り返った。

「大丈夫か?」

「大丈夫です」

私は反射的に答えた。

身体は私の言葉を聞かなかったが、口はまだその言葉を上手に言えた。

紙には「き」という一文字だけが残った。

「今日」の最初の音を書きかけたようにも見えたし、別の名前を書き始めたようにも見えた。

私はボールペンでその字をゆっくり塗りつぶした。インクの上にインクが重なり、小さな黒い傷のようににじんだ。

昼食までに水を二杯飲んだ。

一杯目は一度に半分飲んだ。二杯目は長いあいだベッドの横に置いておいた。日差しがコップを通り、床に揺れる四角形を作った。

水を飲み終えたあと、私は体位変換の呼び出しボタンを押した。

ナ・ドユンが入ってきた。

「どうしました?」

「右向きにならないといけません」

「一人でできますよね?」

「できます」

私は少し間を置いた。

「でも、脚の位置を確認してください」

彼は何も言わず手袋をはめた。

私は柵をつかんで身体を回した。上半身を動かし、骨盤を引きずり、膝を曲げた。ナ・ドユンが足首を動かし、ベッドの隙間に挟まらないようにした。

身体は私のものだった。

同時に、他人の手と記録と規則がなければ、長く維持できないものでもあった。

どちらが真実なのか、一つ選ぶ必要はないのかもしれなかった。

私は右向きのまま窓を見た。

ガラスに私の顔が薄く映っていた。その下には身体の半分しか見えなかった。

見えない半分も、消えたわけではなかった。

呼び出し記録に私の名前が残される音がした。ナ・ドユンのペンが紙を擦った。

今日、私は助けを求めた。

その文章を紙には書かなかった。

書かなくても、起きたことはなくならなかった。